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露日科学技術協力

科学技術分野での日露協力の法的根拠の中で重要な要素となっているのが、2000年9月4日に東京で調印された「科学技術協力に関するロシア連邦政府と日本政府の合意書」である。

この合意書の第6条に基づいて、ロ日科学技術協力委員会が設置された。この委員会の運営はロシア教育科学省と日本外務省に任された。

ロ日技術協力委員会第13回会合が2018年4月9日、東京で開催された。ロシア側代表団には高等教育機関、連邦科学機関協会、ロシア基礎研究基金(RFBR)、ロシア科学基金(RSF)の代表者が名を連ね、G.B.トゥルブニコフ教育科学次官が団長を務めた。

会合では2015年から2018年までの二国間の科学技術協力の総括が行われ、2018年から2021年までの科学技術協力プログラムの実施を開始することが合意された。双方は両国の科学技術政策について意見交換を行い、ロシアと日本の大学間連携の現状と展望を議論した。

プログラムの枠内で実施される科学技術プロジェクトやイノベーション・プロジェクトに、ロシア側からはロシア科学アカデミーの各種研究所、大学、応用科学を専門とする研究所が参加している。日本側からは主要な政府系機関(海洋研究開発機構(JAMSTEC)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本原子力開発機構(JAEA)、産業技術総合研究所(AIST)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、理化学研究所(RIKEN)など)や、国内で最新の研究開発が行われている大学(東京大学、大阪大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学など)が参加している。

最も活発に共同研究が進んでいるのが、高エネルギー物理、加速器研究、エネルギー研究開発、素材研究、農林業、宇宙開発、放射線学、海洋学、地震学などの分野である。ロ日協力において有望な分野は情報通信技術、省エネルギー、原子力、ナノテクノロジー、ロボティクス、科学分野でのメガプロジェクトの実施、北極研究などである。

両国の科学技術協力において重要な出来事となったのが、2017年9月6日に東方経済フォーラム(ウラジオストク市)の場でロシア教育科学省と日本の文部科学省が調印したロ日科学技術共同プロジェクトに関する協力覚書と高等教育分野における相互理解に関する覚書である。

ロシア基礎研究基金は、日本の科学技術振興機構との合意書の枠内で、共同プログラムへの支援を活発に実施している。2018年初めに行われたコンクールでは、応募のあった106件のうち、15のプロジェクトが選ばれ、財政援助を得た。

2018年5月には、RFBRと難病治療研究振興財団(JMRF)が共同で、基礎研究プロジェクトのコンクールを実施した。応募のあった8件のうち、第三者専門家の審査により、3つのプロジェクトが支援されることになった。

2016年12月に調印されたロシア科学基金(RSF)と農林水産省の協力覚書に基づき、2017年に初めてのコンクールが実施され、農業分野のプロジェクト5件が選ばれた。このほか、RSFは科学技術振興機構(JST)と日本医療研究開発機構(AMED)との協力合意書をそれぞれ締結するため、協議を継続させていた。

重要な二国間交流にとって効果的なプラットフォームとなっているのが、日本最大の国際フォーラム「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」である。2017年10月、このファーラムにA.V.ドヴォルコヴィチ副首相を代表とするロシア代表団が参加した。このフォーラム期間中に、安倍首相と世耕経済産業大臣との会談が行われた。2018年10月には、京都でフォーラム参加者の定例会合が開催される。

また、モスクワでは2018年秋に、モスクワ国際投資発展フォーラム「オープン・イノベーション」が予定されており、日本の科学分野の代表者が招待されている。